dmd - OSX D Compiler
- dmd Windows 版
- dmd Linux 版
- dmd FreeBSD 版
- 必要なもの
- ファイルリスト
- インストール
- 例
- コンパイラの引数とスイッチ
- リンク
- 環境変数
- dmd.conf 初期設定ファイル
- Windows版とLinux版の違い
- D インターフェースファイル
- ライブラリのビルド
- dmd のコンパイル
- Phobos のコンパイル
必要なもの
- Dコンパイラのダウンロード
- 32 bit x86 Mac OSX
- Gnu C compiler (gcc)
ファイルリスト
- /dmd/src/phobos/
- D ランタイムライブラリのソース。
- /dmd/src/dmd/
- D コンパイラフロントエンドのソース。GPL もしくは Artistic License のデュアルライセンスです。
- /dmd/html/d/
- ドキュメント
- /dmd/samples/d/
- サンプル
- /dmd/osx/bin/dmd
- D コンパイラ実行ファイル
- /dmd/osx/bin/dumpobj
- Mach-Oファイル出力ツール
- /dmd/osx/bin/obj2asm
- Mach-Oファイル逆アセンブラ
- /dmd/osx/bin/shell
- シンプルなコマンドラインシェル
- /dmd/osx/bin/dmd.conf
- コンパイラの共通設定ファイル (/etc/dmd.confへコピーする)
- /dmd/osx/lib/libphobos.a
- Dランタイムライブラリ (/usr/lib/libphobos2.aへコピーする)
インストール
- dmd の zip ファイルをホームディレクトリに置いて、
unzipで展開します。
unzip dmd.VERSION.zip
VERSION にはそのzipファイルのバージョン番号が入ります。 - ~/dmd ディレクトリが作られ、 全てのファイルがその中に入っています。 ツールは全てコンソールから利用するコマンドライン用ツールです。
- 動作を確かめるために、以下の内容で hello.d
というファイルをホームディレクトリに作成して下さい:
import std.stdio; void main() { writeln("hello world!"); }
これを次のようにコンパイルして実行すると/dmd/osx/bin/dmd hello ./hello
以下が表示されれば成功です:hello world!
- システム全体で使えるようにインストールするには:
- 実行ファイルを /usr/local/bin へコピー:
- 最後に、ライブラリファイルを /usr/lib へコピーします:
sudo cp /dmd/osx/lib/libphobos2.a /usr/lib
sudo cp /dmd/osx/bin/{dmd,dumpobj,obj2asm,shell} /usr/local/bin sudo cp /dmd/osx/bin/dmdx.conf /usr/local/bin/dmd.conf
コンパイラの引数とスイッチ
- dmd files... -switch...
- files...
-
拡張子 ファイルの種類 none D言語のソース .d D言語のソース .dd Ddoc のソース .di D インターフェイスファイル .o リンクしたいオブジェクトファイル .a リンクしたいライブラリファイル - @cmdfile
- cmdfile が環境変数の名前であれば、 その環境変数から、 コンパイラへの引数とスイッチを読み込みます。 それ以外の場合、 テキストファイル cmdfile から引数とスイッチを読み込みます。
- -c
- コンパイルのみ。リンクはしません
- -cov
- コードカバレッジ解析 を有効にする
- -D
- ドキュメント生成
- -Dddocdir
- ドキュメントファイルを docdir ディレクトリに出力
- -Dffilename
- ドキュメントファイルを filename に出力
- -d
- 非推奨(deprecated)な機能を有効化
- -debug
- デバッグ用にコンパイル
- -debug=level
- 指定したデバッグレベル以下のコードを全てコンパイル
- -debug=ident
- デバッグ識別子を指定してコンパイル
- -debuglib=libname
- デバッグ情報つきのコンパイル時に、libphobos.a の代わりに libname をデフォルトライブラリとしてリンクします
- -defaultlib=libname
- デバッグ情報なしのコンパイル時に、libphobos.a の代わりに libname をデフォルトライブラリとしてリンクします
- -deps=filename
- モジュールの依存関係をテキストで filename に書き込みます
- -dylib
- dylib ライブラリを生成
- -fPIC
- 位置独立コード(Position Independent Code)を生成
- -g
- ZeroBUGS 等のデバッガ向けに Dwarf シンボリックデバッグ情報を D extensions として付加。
- -gc
- gdb 等のデバッガ向けに Dwarf シンボリックデバッグ情報を C形式で付加。
- -H
- Dインターフェイスファイルの生成
- -Hddir
- Dインターフェイスファイルの出力ディレクトリ dir の指定
- -Hffilename
- Dインターフェイスファイルのファイル名 filename の指定
- --help
- ヘルプメッセージを出力
- -inline
- 関数のインライン展開を有効にします。 これによってパフォーマンスは向上しますが、 デバッグが難しくなります。
- -Ipath
- import されたモジュールを検索するパスの指定。path は ; で分かち書きしたパスのリストとします。複数回 -I を使うことも可能で、 その場合は -I と同じ順でモジュールが検索されます。
- -ignore
- 非対応pragmaを無視します
- -Jpath
- ImportExpression で指定したファイルを探すパス。このスイッチは ImportExpression を使う際に必須となります。 path には ; で区切ったパスのリストを指定します。 複数の -J スイッチを指定することも可能で、 パスは指定された順番に検索されます。
- -Llinkerflag
- -L-M などとして、 linkerflag をリンカへ渡します。
- -lib
- オブジェクトファイルの代わりにライブラリファイルを出力します。 コンパイルされたソースファイルおよび、 引数で指定されたオブジェクトファイルやライブラリが、 まとめて出力ライブラリに格納されます。 粒度を上げるために、コンパイルされたソースモジュールはライブラリ内で 別々のオブジェクトへと分割して格納されることがあります。 ライブラリの名前は、最初に渡されたソースファイルの名前から取られます。 これは、 -of スイッチによる上書きが可能です。
- -m32
- 32bit実行ファイルにコンパイルします。これがデフォルトです。
- -man
- BROWSER 環境変数に指定されたブラウザでこのページを開きます。 BROWSER が未定義の場合、 x-www-browser を実行します。
- -O
- 生成コードを最適化。 最高速の出力を得るには、-O -release -inline を使用してください
- -o-
- オブジェクトファイルを生成させない
- -odobjdir
- オブジェクトファイルをカレントではなく objdir からの相対で出力
- -offilename
- 出力ファイル名を filename に設定。出力ファイルは、 他のスイッチに応じてオブジェクトファイル、実行ファイル、 あるはライブラリファイルのいずれかになります。
- -op
- オブジェクトファイルの名前を決める際、通常は ソースファイル名のディレクトリ名部分を削りますが、 -op はこれを残します。
- -profile
- 生成したコードの実行パフォーマンスを測定する Profiling 用の情報を追加
- -quiet
- 重要でないコンパイラのメッセージを抑制
- -release
- リリース用にコンパイルします。つまり、契約、assert、 つまり、契約、assert、配列の境界チェックのコードを入れずにコンパイルします。
- -run srcfile args...
- ソース srcfile のコンパイル、リンクを行い、 生成されたプログラムに残りのコマンドライン引数 args... を渡して起動します。 .o や実行ファイルを後に残すことはありません。
- -unittest
- 単体テスト用コードをコンパイルし、assertを有効にします。 また、unittestバージョン識別子を有効にします。
- -v
- メッセージを冗長に出力
- -version=level
- 指定したバージョン番号以上のコードを全てコンパイル
- -version=ident
- バージョン識別子を指定してコンパイル
- -w
- 警告を有効にします
- -wi
- 情報表示のみの警告 (つまり、 警告が出てもコンパイル・リンクは継続する) を有効にします
リンク
リンク処理は dmd コンパイラによって、 コンパイルが成功した後自動的に実行されます。これを禁止するには、 -c スイッチを使用します。
実際のリンク処理は gcc が行います。このため、 gcc でコンパイルされたモジュールとの互換性が保証されます。
環境変数
Dコンパイラ dmd は以下の環境変数を使用します:- CC
- dmd は、通常はリンカとして gcc
を環境変数 PATH から探します。特定のリンカを指定したい場合は、
CC 環境変数を設定します。例:
set CC=gcc
- BROWSER
- -man スイッチでこのマニュアルページを開く時のブラウザの指定に使用されます。 デフォルトは x-www-browser です。
- DFLAGS
- dmd は、コマンドラインの最後に DFLAGS の内容が追加されたかのように動作します。
dmd.conf 初期設定ファイル
設定ファイル dmd.conf はWindowsでの sc.conf と同じもので、違うのは名前だけです。 WindowsとUnix系システムで同じ設定ファイルを 変更なしで共有することが出来ます。
dmd は初期設定ファイル dmd.conf を、 以下のディレクトリから順番に探します:
- カレントディレクトリ
- HOME 環境変数で指定されたディレクトリ
- dmd のあるディレクトリ
- /etc/
dmd.conf が見つかった場合、 このファイルで設定された環境変数が既存の設定を上書きします。 他のプログラムの環境変数による設定との衝突を避け、 dmd の設定を独立させる簡単な方法となっています。
環境変数は [Environment] セクションのヘッダの後ろに続けて、 NAME=value という組の形で記述します。 NAME は常に大文字扱いになります。 コメントは行頭の ; から始める行です。例としては:
; dmd.conf file for dmd ; %% で囲まれた部分はすでに設定された環境変数の名前とみなして ; その場に展開されます。特殊記法 %@P% は、 ; dmd.confファイルが存在するパスへと置き換えられます。 [Environment] DFLAGS=-I%@P%/../src/phobos
Windows版とLinux版の違い
- Linux版では、 文字列リテラルは読取専用です。 書き込もうとするとセグメント違反が発生します。
D インターフェイスファイル
Dのソースコード中の import 宣言が処理される際には、 コンパイラは、その import に対応するDのソースファイルを検索し、 見つかったファイルから import に必要な情報を取り出します。 これとは別に、コンパイラは対応する D インターフェイスファイル を探して使うこともできます。 D インターフェイスファイルはそのモジュールの実装全てではなく、 importに必要な情報だけが記述されたファイルです。
Dのソースファイルではなくインターフェイスファイルを import に使用することの利点は:
- D インターフェイスファイルは多くの場合、対応するD ソースファイルより ずっと小さく、高速に処理できます。
- ソースコードの隠蔽にも使用できます。例えば、 ソースコードの代わりに、コンパイル済みのオブジェクトコードと Dインターフェイスファイルをリリースします。
D インターフェイスファイルは、コンパイラに -H スイッチを指定することで、 D ソースファイルから生成します。 D インターフェイスファイルの拡張子は .di です。 コンパイラが import 宣言を解決する際には、まず .di D インターフェイスファイルを検索し、次に D ソースファイルを探します。
D インターフェイスファイルは、ある意味で C++ のヘッダファイルによく似ています。 しかし、C++のヘッダファイルのような意味で必要になるわけでもなければ、 Dという言語の一部でもありません。 これは、コンパイラの機能の一つで、 ビルド処理の最適化のためだけに使用されます。
実行ファイルのビルド
dmd は、コンパイル対象のソースコードを一度にコマンドラインでまとめて指定する方が、 ずっと高速に実行ファイルを生成できます。
dmd の一度の起動に複数のソースファイルをまとめて渡すもう一つの利点は、 それによって、モジュールを超えたインライン展開などの最適化を dmd が行える可能性があることです。
ライブラリのビルド
ライブラリのビルド方法は3種類あります。例として、コンパイルするソース foo.d と bar.d、 既存のオブジェクトファイル bar.o、そして既存のライブラリ def.a を全てまとめて、foo.lib というライブラリをビルドする場合を考えてみましょう:
- それぞれを個別にコンパイルし、ライブラリ化コマンドを実行:
dmd -c foo.d dmd -c bar.d rm -f foo.a ar -r foo.a foo.o bar.o abc.o def.a rm foo.o bar.o
この方法は、makefile などを使うことで、 モジュールの余計な再コンパイルを避ける時などに適しています。 - 一括でコンパイルを行い、ライブラリ化コマンドを実行:
dmd -c foo.d bar.d rm -f foo.a ar -r foo.a foo.o bar.o abc.o def.a rm foo.o bar.o
- dmd で、コンパイルとライブラリ作成を一発で実行:
dmd -lib foo.d bar.d abc.o def.a
オブジェクトファイルがディスクに書き出されることはなく、全ての中間処理はメモリ上で行われます。 -lib のもう一つの利点としては、一つのモジュールが一つのオブジェクトファイルに対応するのではなく、 さらに細かく分割して複数のオブジェクトとして格納されることです。 これによって、モジュールを手で分割することなしに 粒度を上げることができます。
dmd のコンパイル
dmd コンパイラのビルドに必要なソースは全て提供されています。 以下の手順でビルドが可能です:
cd ~/dmd/src/dmd make -f .mak
Phobos のコンパイル
Dのランタイムライブラリである Phobos ビルドに必要なソースは全て提供されています。 以下の手順でビルドが可能です:
cd ~/dmd/src/phobos make -f .mak DMD=~/dmd/bin/dmd