C++標準ライブラリ拡張案 TR1 は、gcc4 などいくつかの環境では実装されはじめていますが、 まだ、未実装の環境も多いです。このライブラリは、 TR1実装済みの環境ではネイティブのヘッダを読み込み、 未実装の環境では、TR1に対応するBoostのライブラリのヘッダを名前空間を std::tr1 に変えて読み込んでくれる切り替え用ライブラリです。
例えば、boost/tr1/memory.hpp を #include すると、TR1のmemoryヘッダが実装されている環境なら、 単にそのmemoryが#includeされます。実装されていない環境では、boost/shared_ptr.hpp 等が代わりに #include されます。どちらの場合も std::tr1::shared_ptr という形で shared_ptr を使うことができます。
BoostからTR1に入ったライブラリは標準ライブラリとしてstd::tr1::で使いたい! けど、移植性を考えるとBoostの実装を使うべきかも…と悩んだときに使えるのがBoost.TR1というわけです。
現時点では、TR1 の <cmath> <unordered_set> <unordered_map> にはまだ対応していないため、このライブラリを使っても正しく動作しません。 将来的にはこれらの実装もBoostに入れる予定だそうです。